転職活動では転職サイトや転職エージェントなどで次の職場を探すのが一般的でしょう。
しかし中には実力の高さによるヘッドハンティングや仲の良い取引先から誘われたりといった場合もあります。
この記事ではその中でも『友達の会社に誘われて転職した場合』について解説します。
スカウトは通常の転職より社員に注目されますし、誘ったのが友達となると尚更です。
あなたがメリットもデメリットをしっかり把握して後悔しない転職にしましょう。
筆者の経歴
筆者は現在4社目の会社に在籍してますが、3社目は友達からスカウトされた会社でした。
先に結論を言うと、友達の会社は会長のワンマン経営ブラック企業でした…
2社目では過労死レベルの残業で心身ともボロボロになり、居酒屋で学生時代の友達に現状を打ち明けると
「お前ならウチの開発部で活躍できる」
「ウチの会社来いよ!」
と誘われました。
友達は中小の金属関連メーカー勤務で平社員ながら経営陣の信頼も厚く、かなり良いポジションにいました。
入社試験は会長との面接1回のみ(友達は同席せず)。
面接では希望した開発部に配属、前職より給料アップ、家賃全額補助という好条件を提示されるも、
完全週休2日の部署で筆者1人だけが毎週土曜出勤、
残業がほぼない部署なので残業代支給なしという謎の条件を追加されました。
気になるところは多々あるものの、自分のスキルを活かせる配属先、前職より給料アップ、家賃全額補助、誘ってくれた友達への感謝の気持ちをトータルして入社を決意。
しかしいざ入社すると、
雇用契約書や労働条件通知書なし。
残業はほぼないと言ってたのに月50時間残業。
残業代の交渉をしたら露骨に評価が下がった。
退職を申し出るとボーナス支給日に在籍してるにも関わらずボーナス全額カット。
ワンマン会長が経費で馬を買って平日から堂々と遊んでる。
などなど酷い有様…
友達のメンツもあるので筆者なりに頑張ったつもりですがさすがに限界がきました。
5年目に退職を決意して4社目へ。
メリット
友達がいる安心感
常に友達がいてくれるのは最大の利点じゃないでしょうか。
退職理由は『人間関係』が常にトップなので、いつでも相談できる友達が同じ会社にいるというのは非常に心強いです。
本来入社してしばらくは人間関係をゼロから作っていかなければいけないので精神的に疲れやすいです。
最初から友達がいることで安心できますし、仕事の進め方や不安に思ってること、今後のキャリアについても相談しやすいでしょう。
最初から相談できる相手がいるってのは大きなアドバンテージやで!
入社前に詳しい情報を聞ける
どんなブラック企業でもホームページや求人情報は綺麗ごとを並べてるのであまりあてになりません。
口コミサイトの方が信用度は高いですが、掲載前に審査があるので社員の声全てが記載されるわけではありません。
また、口コミの中には自社を褒め称えるサクラもいるので100%信じるのはやめましょう。
これらに比べて実際に働いている友達の情報は信用度が高く、細かいところまで遠慮なく聞けるので入社するかどうかの判断基準にしやすいです。
入社前に良いところと悪いところをしっかり聞いておこう!
内定が出やすい
初対面の面接官と違い、友達があなたの能力や人間性を知ってるというのが大きなポイントです。
友達もあなたを迎え入れるために社内でアピールしたり、入社に向けて調整をしてくれているので内定が出やすいです。
友達の誘いだからと気を抜かず、履歴書や職務経歴書をしっかり準備して採用試験に挑みましょう。
友達の会社だからこそ気になることは面接でしっかり聞いておこう!
待遇アップが期待できる
普通の転職活動と異なり、友達であれば給料や自分がやりたい業務なども気軽に相談できます。
友達が経営者であったり、それなりのポジションにいる場合は好待遇が期待できるかもしれません。
待遇が悪ければ入社してくれないのはわかっているので、できるだけ好待遇で迎え入れようと努力してくれます。
希望を言うのは自由ですが、いくら友達とはいえ有頂天になって不相応な条件を提示するのはやめましょう。
自分を客観的に見ないとダメっス!
親しき仲にも礼儀ありっス!
期待されている
注目度が高いので普通の転職者より配属先に期待されています。
プレッシャーはもちろんありますが、期待されるのは大きな活力になるはずです。
職場環境に慣れるまで実力発揮は難しいかもしれませんが、コツコツ積み重ねていきましょう。
前職で実績があればあるほど期待値も比例して高くなるで。
いきなり結果を出そうとせず土台を作るのが大事や!
デメリット
入社すると簡単に退職できない
本気で退職を決意したなら友達には理由をしっかり説明しましょう。
通常の転職とは違って入社できたのは友達の力も大きいです。
つまり『友達に恩義がある』ということなので後ろめたさを感じてしまいます。
この後ろめたさがかなり厄介で行動力を鈍らせますが、自分の決断を大事にしましょう。
退職は個人の自由。
だけど辞めた後の友人関係をちゃんと考えたほうがいいぞ。
友人関係が悪化する可能性がある
どんなに仲の良い者同士でも必ず衝突するときが来ます。
仕事に対する考え方、業務の進め方、プロジェクトの方向性など意見の食い違いは嫌というほど出てきます。
また意見の食い違いから退職することになってしまえば関係の修復は難しくなるでしょう。
特に退職時は揉めてしまう可能性もあるので、友達だからこそ普段からしっかり話し合う必要があります。
お互いの意見を尊重して意見をまとめる。
簡単そうでめっちゃ難しいっス!
社員の視線とプレッシャー
- ○○の友達なんだって
- ○○が誘ったってことは優秀なんだろうな?
- お手並み拝見
- 給料高いんだろうな
- 楽して入社しやがって
人間は感情の生き物です。
友達はあなたを入社させられて満足してるかもしれませんが他の社員はそうとは限りません。
全員が上記のような感情を持ってるわけではありませんが、快く思わない人がいる可能性も十分考えられます。
いくら友達がいるとはいえ人間関係をゼロから作っていく心構えが必要です。
また、スカウトされたあなたは『即戦力』として見られます。
シビアな目であなたの仕事っぷりを見てきますし、環境に馴染めず仕事が不調なら期待外れの烙印を押されてしまいます。
また、あなたの仕事っぷりがスカウトした友達の評価にも繋がるので更にプレッシャーが増えます。
友達のスカウトはそれだけ影響が大きいということを認識しておきましょう。
プロ野球で例えたら助っ人外国人選手みたいなもの。
結果を出して当たり前、結果が出なければ冷たい視線…
希望する職種とは限らない
例えばあなたがタクシードライバーに転職したいのに業界が全然違う医薬品メーカーの友達からスカウトされても困りますよね。
また希望する業界だとしてもエンジニア希望なのに配属先が営業なら長続きする可能性はかなり低いでしょう。
あなたがやりたい仕事じゃないならしっかり断るのも大事です。
転職は人生を大きく変えるで!
生半可な気持ちで承諾したらアカン!
入社を決める前に注意するポイント
友達は本当に信用できる?
何年も会ってない友達からいきなり誘いを受けたなら少し警戒しましょう。
会ったときに知らない人と一緒に勧誘してきたり、契約を迫ってくるなら特に警戒しましょう。
人間とは弱いもので2対1の状況になると断れずに相手の思うように誘導されてしまいがちです。
仕事は人の性格を大きく変える力を持っているので、あなたが知ってる友達はもう存在しないかもしれません。
金銭を要求されたら詐欺やマルチ商法の可能性もあるぞ。
お金を渡したり、その場でサインなんかしたら絶対ダメだぞ。
今の会社に残る選択肢を持っておく
現職に不満があるときに友達から誘いを受ければ気持ちが転職に傾くでしょう。
希望の配属先や好条件を提示されれば尚更です。
こういう時は感情や期待感が高まって視野が非常に狭くなるので、深呼吸して冷静に考えましょう。
良い話だけ鵜呑みにして有頂天になってると
「こんなはずじゃなかった」「前の会社の方が良かった」
ということになりかねません。
友達には良い点だけでなく悪い点や課題も聞き、現職と徹底的に比較して結論を出しましょう。
お酒を飲みながらの誘い話は気を付けて!
判断力が鈍ってるからその場で即答は絶対ダメだよ!
生活に支障はないか
- 勤務先はどこなのか
- 引っ越しが必要なのか
- 通勤時間はどれくらいか
- 年収は増えるのか
- 年間休日は増減するのか
- 単身赴任になるのか
- ローンの支払いは大丈夫か
- 家族の理解は得られるのか
仕事が変われば生活スタイルも一変します。
一人暮らしなら自由に動けますが、家族持ちであったり介護しながら働いてる場合はあなただけの問題ではありません。
しっかり家族に相談して、自分の気持ちと状況をトータルして決めましょう。
家族が納得して応援してくれるから自分も頑張れるッス!
会社見学をお願いする
- 見学を拒まないか
- 社内は綺麗に整理整頓されているか
- 社員が活き活きしているか
- 社員や設備に投資してそうか
- 応接室だけに通されて終了なんてことにならないか
入社したいと思ったならどんなに遠くても、どんなに忙しくても会社見学をお願いしましょう。
例えばこれから家を買うのに立地や間取り、内装、設備等を気にしない人はいませんよね?
仕事も同じで、いくら友達がいるとしてもこれから何年、何十年と働くことになるであろう職場を甘く考えてはいけません。
会社説明や入社試験をホテルの会議室などで済ますようなら要注意!
臭いものに蓋をしてる可能性大だよ!
退職は内定をもらってから
内定を貰う前に退職するのは絶対ダメです。
いくら友達が約束してくれたとしても会社状況が一変して入社できなくなる可能性があります。
現職に不満がある人が早く辞めたいのは理解できますが早とちりな行動は避けましょう。
退職を取り消して現職に留まることができたとしても非常に気まずい雰囲気になるのは確実です。
世の中に絶対はないで。
常にプランBを考えなあかん!
最後に
筆者の友達はありがたいことに詐欺などではなく大真面目に誘ってくれました。
当時の筆者は2社目のブラック企業でボロボロになっていたことや、居酒屋で飲みながら誘われたこともあって二つ返事で入社してしまったのが最大の反省点です(-_-;)
筆者経歴にも書いたように誘われた会社はとんでもないブラック企業でした。
ですが開発職として新技術の開発を担当して実際に製品を世に送り出せましたし、何より友達と一緒に仕事できたのは貴重な経験でした。
退職した今も友達とは連絡を取り合っています。
この記事がスカウトされて悩んでる方々の参考になれば幸いです。
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